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  • 執筆者の写真小森智文

マイナンバーカードへの健康保険証一本化

 マイナンバーカードへの運転免許証や健康保険証の機能を付加しようという議論が、ますます活発になってきています。

 紙媒体の発行がなくすことによって、経費が削減でき、便利になることの一面だけが取り上げられているようにしか思えません。


 私は、兄二人の成年後見人をつとめております。私のマイナンバーカードを作成する際に、兄達のカードも作成しようかと考えたことがありますが、結局は作成しませんでした。その理由は、電子認証は3年、カード自体は5年で更新され、カードの受取などは、本人自らが市役所の窓口まで取りに行かなければならないとされています。今年、成年後見人をされているお父様から、お子さんの分のマイナンバーカードを作成したいというご相談があり、成年後見人であるお父様が申請することは可能であっても、受け取る際には問題が生じるかもしれないと伝えたところ、案の定、問題がおきました。

 結局、自治体ごとによって対応が異なり、成年後見人であっても、本人確認を行う必要性があるから本人(被後見人)を窓口に連れて来ないとカードの受取はダメだと言われたとのことです。

 今回は本人を窓口に連れて行くことができても、電子認証やカードの更新の際にも、本人が窓口に行かなければならないということであれば、何のための成年後見人なのかという疑問が湧きます。

 さらに、3年後、5年後に、本人が窓口に行けない場合は、どうするのでしょうか?その質問をお父様が、役所にされたとき、「そのときに、また相談してください」と言われたそうです。こんな無責任で、場当たり的な対応しか決まっていない状況で、これを推進しようとしていることは、到底理解ができません。


 さらに、健康保険証は、生きている限り、定期的に自動で送付されて来ているから、安心して利用できるものが、今後、健康を害してマイナンバーカードの更新が行えなくなった場合、本当に必要な人が利用できないという状況も起こりうるのではないかと心配になります。

 私の兄達は福祉施設に入所し生活を送っているために、常時、健康保険証は、施設側で管理してもらっています。病院に行く際、役所の手続をする際に、それぞれでマイナンバーカードが必要になってくると、その都度、カードを取りに行ったり、郵送してもらうというのは、あまりにも不便でしかありません。


 今後、高齢化社会になり、施設で過ごされる方も増え、私のような事例も増えて来ると思います。マイナンバーカードが発行された当初は、第三者にこのカード番号を知られないようにしないといけないということで、セキュリティーの重要性を警告していたはずが、今ではそのようなことは聞かなくなりつつあるように思います。

 単に、健常者目線の利便性だけで、推し進めるのではなく、障害をもった方や高齢者の方、そして、その家族もが安心して、活用できるような仕組み作りをしっかりと議論していただきたいと思います。

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