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  • 執筆者の写真小森智文

認知症の預金引き出し

 全国銀行協会が、認知症患者の預金を引き出す場合の指針をまとめたという記事がありました。




 最近、銀行の窓口で、施設入所や入院費用を支払うために、口座名義人の


ために預金を引き出そうとしても、たとえ家族であっても、「成年後見制度を利用して欲しい」と断られるようになっていました。

 私も母が脳梗塞で倒れた直後の13年前に、複数あった銀行口座をまとめようとした際、実際に色々と経験しました。母が脳梗塞で倒れる1年程前に、母は私と任意後見契約を結んでいました。ある金融機関は、任意後見契約を結んでいるということを伝えると、その契約書を持参してくれれば、解約に応じるとすんなり認めてくれるところもあれば、電話で長々と説明しても、なかなか理解してもらえないところもありました。

 一番対応が酷いところでは、まさにこの通り「成年後見制度を利用してくれ」と言われましたので、兄たちの成年後見申立で経験している私としては、「成年後見を申し立てて、利用できるまでに3~4ヶ月以上掛かるのを知っているのですか?私は母と任意後見契約を結んでいます」と伝えると、急に慌てだし、「任意後見って?」「公正証書って?」という程度の知識で、「成年後見」ということを簡単に言っていたようです。挙句の果てには、口座の解約には「手にペンを縛り付けてでも、委任状を書いてもらってくれ」ということを言われ、流石に13年前でも、この対応は倫理や道徳的にもおかしいと思い、本部へ対応改善の申し入れをしました。


 そのような杓子定規の対応を少し変えようとするのが、今回の指針のようです。

 認知症の方が増えてきている状況下で、今後は、基本は「成年後見制度の利用」としつつも、限定的な対応として、代理権がなくても、預金の払い出しを認めるようです。

 

 ただ、この指針が出されたからと言っても、この対応は限定的な対応としており、代理出金を認めるまでにも、いくつもハードルが設定されています。

 ①家族関係をわかる戸籍謄本等で、家族関係の確認を徹底する

 ②診断書や面談などで、預金者の認知能力が低下していると判断できた場合に限る

 ③医療費や施設入居費など使徒を限定した上で、直接銀行がその相手先の口座に振り込む

 ④生活費の支出には上限額を設定する


 この手続きができるようになると、少し楽にはなりますが、認知症の預金者と家族の戸籍が一つの戸籍謄本に記載されていれば簡単でしょうが、本籍地が別々で、遠方の役所にあるような場合は、その取得にも時間が掛かってしまうと思います。

 また、生活費の支出には上限を設けるということなので、長期療養が必要の場合は、その間に成年後見の申立を行うことを想定しているようにも思われます。


 なかなか、自身や周りの方が認知症になったりすることを考えたりすることはないと思いますが、転ばぬ先の杖として、どのような方法があるのかを、今一度考える機会なのかなと思いました。

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