小森智文

2020年10月10日

デジタル化

 

新政権が発足し、平井デジタル改革担当大臣の任命、河野行政改革担当大臣の脱ハンコ、書類のプリントアウトしてFAXするということを廃止など、新しい働き方にあわせ、行政事務のデジタル化、業務の無駄を削ぎ落とすような施策の提案が期待されます。

 コロナ禍から、急遽、行政手続きのデジタル化が進むというのは、若干皮肉なようにも思います。

 私も父が亡くなった後に、市役所の同じ部署から還付金を戻すために、同じような請求書を3度も書かせられた際には、役所の窓口に行って、「父が死んだのは一度、それなのに、何故同じ部署から3度も申請書を提出させようとするのか理解できない。最初の申請書に、他の手続きでも流用するというチェック項目さえ作れば、郵送料もかけることなく、一度で手続きは終わる」と言ったことがあります。それから、8年が経ち、母が亡くなった時には、1度だけの申請で済むように変わっていました。

 民間事業者では経費削減は、当然の至上命題のことが、役所では慣例に従って、なかなか改革できないというのは、おかしいことだと思いますので、この際に、改革されることを望みます。

 インターネットが普及し、データの送信もメール等でできる世の中なのに、何故、不鮮明なFAXが未だに存在するのか、分かりませんので、FAX廃止には賛成です。

 デジタル申請に伴い、ハンコの廃止という点については、少しだけ注文があります。

 今でも、国会答弁などを聞いていても、行政の責任の所在は不明です。これで、決済ハンコなどがなくなれば、誰がチャックしたのか、承認したのかが、より不確かになりかねないと思います。

 今回、脱ハンコということが話題に上がったのは、コロナ禍で在宅勤務中に、決済書類にハンコを押すためだけに、出社すること自体に疑問が生じたことが発端だと思います。

 行政手続きの申請書類でも、どんな書類にも押印させるようになっていますが、100円ショップで三文判が売られているような状況下では、意味がありません。

 政権が交代し、単に鶴の一声で、十分な検討もなしに、脱ハンコという旗印だけで、推し進めるのではなく、どういう書類にはハンコを残すべきなのか、また、在宅勤務など別々の場所で仕事をしていても、それぞれが中身を見て決済を行ったと分かるような電子認証システムの導入など、しっかりと考えてもらいたいと思います。

 ただ、行政で一番最初に手を付けるべきは、年間の維持費がかかりすぎている住基ネットとマイナンバーのシステムを統合することからだとは思いますが・・・。

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