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執筆者の写真小森智文

成年後見人とマイナンバーカード

 私は知的障害者の兄2人の成年後見人を、もう15年程しております。

 兄達は、別々の福祉施設で生活しており、住民登録も別々の市にあります。国がマイナンバーカードを推奨していることや、行政書士という立場から、兄達のマイナンバーカードを取得してみました。

 昨年12月9日に書いたブログの続きだと思ってください。


 長兄分と次兄分を同時申請しましたが、次兄分はすんなり1度目で通りましたが、長兄分は写真が基準に適合しないと3度も受付を拒否されました。最初は画像の大きさが規定値に達していない、2度目からは、拒否理由も定型文で、どこがどのように悪いのかも分からないというものでした。

 障害を持った人が、背景が全くない場所で、真正面を向いて、写真を撮ることの難しさがあるということは、一切考慮されないという実感を持ちました。今後、高齢社会になって寝たきりになった場合、車椅子に座り終始うつむくような姿勢の方などからの申請に対し、どのように対処するのか、しっかりと指針を出して欲しいと思います。


 兄たちの申請は、何とか受理されたのですが、次に、受取の時が問題でした。

 マイナンバーカードを受け取る際は、本人と成年後見人が、一緒に窓口に来ることと、一様に書かれています。ここで、私は疑問を感じました。何のための成年後見人なんだろうかと・・・。

 成年後見人は、本人に事理弁識能力がない常況であるために、本人に代わって、身上監護などの手続きを行えるはずなのに、何故、本人を窓口まで連れて行く必要があるのでしょうか?

 入院など窓口に来れない正当な理由がある場合のみ、後見人だけでも可能と書いてあったりしますが、コロナで蔓延防止措置の状況下になると、感染予防のためという理由でも、後見人だけで手続きが可能になったりします。

 役所の窓口に電話を掛けて確認すると、マイナンバーカードは本人確認をしっかりしてからでないと渡せないと言いますが、療育手帳や障害者手帳の更新などの手続きは、本人を窓口に連れていかなくてもできますし、申請書類の手続き人の名前は、役所側からは、成年後見人ではなく、本人の名前で申請が可能なので、本人の名前を書けばいいと指示をされます。また、本人確認を厳格化しているとは言っていますが、登記事項証明書と後見人である私の身分証などを持参しても、身分証の顔写真と、窓口に来ている者の顔を、マスクを外させて、確認されることはありませんし、他の方に対しもマスクを外してという光景は一度も見たことがありません。単に形式なみのものだなと感じます。


 また、折角、マイナンバーカードを取得しても、一方の市ではコンビニでの住民票などを取得するサービスは受けられない、一方の市ではその暗証番号も設定できるというチグハグさも、ありました。

 真にマイナンバーカードの普及をしたいと考えるなら、弱者のことも十分に配慮し、成年後見人であっても、本人と同様にすべての手続ができるようにして欲しいと思いました。 今回の受取はできたとしても、電子証明書の更新の5年後、カードの更新の10年後に健康であるという保証は一切ないのですから。


 問題が大きくなってから対処するのではなく、未然に想定しうる問題を洗い出し、早い段階から、しっかりとした指針を打ち出し、誰もが安心して生活ができるような対応をしてくれるようになって欲しいと感じました。

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