新型コロナウイルスの予防接種が、先月より高齢者にも開始されました。
私が所属するコスモス成年後見サポートセンターから、厚生労働省が作成した成年後見と新型コロナウイルスの予防接種に関してのお知らせが届きました。
成年後見人の業務としては、身上監護と財産管理の2つが挙げられます。財産管理は読んで字の如くですが、身上監護とは、成年被後見人(後見を受ける人)に代わって、施設入所や入退院、福祉サービス等の契約手続きを行うことです。この身上監護には、手術などの医療行為の同意権は含まれていません。
私は二人の兄の成年後見人をしています。兄たちが、インフルエンザ予防接種をする際に、施設側から、同意を求められます。私は成年後見人であるとともに、家族という立場もありますので、同意をしています。
しかし、医療行為を受けるかどうかの判断ができるのは、本来は本人だけが判断することになります。病院側が、本人に意識がない場合や判断能力がない場合に、家族に同意を求めることがありますが、それには法的根拠はありません。
今回の厚生労働省の案内には、予防接種の同意権について「成年後見の場合は、予防接種については同意権はあるものの、できる限り本人の意志を確認すること。補佐・補助及び任意後見の場合には、本人にしか同意見はない」旨が書かれています。
最近、障害のお子さんを持つお父様から、相談を受けました。奥様は他界され、お子さんは知的障害者で、成年後見人がついている状態です。お父様としては、自身がなくなった後、医療行為が必要になった際、今の後見制度では、成年後見人には医療行為の同意権がないために、「俺と小森さんの間で、何らかの契約をすることで、対処してもらえないだろうか」という相談を受けました。
まさに、私の場合と同じ状況です。私の場合も、今は判断できますが、私の身に万が一のことがあれば、成年後見人がつくことはあっても、医療の同意権までの判断をしてもらえるような人がいなくなってしまいます。
今回の相談は、障害をもつ家族がいる家庭にとっては、大きな課題だと思います。この件については、どう対処するのがベストなのかを、引き続き検討していきたいと思います。
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