現在、日本国内の所有者不明の土地は、九州ぐらいの広さがあると言われています。
この原因と考えられているのは、土地所有者が亡くなった後の相続手続きで、所有者の変更登記(名義変更)がされないからです。
何故、相続手続きで土地の名義変更がされないのかと言えば、以下の理由があると考えられます。
・遺産分割協議の際に、現金や預金に比べ、不動産は分けることが簡単ではない。
・面倒な不動産は、遺産分割協議の際に、後回しにされ、そのまま放置されてしまう。
・亡くなる方の高齢化に伴い、その相続人も中高年となり、既に持ち家がある。
・不便な土地などは、相続人が相続したいと思わない。
・不動産登記申請は、専門家に依頼しないとできないので、面倒。
・不動産登記申請には、登録免許税や専門家への依頼料などがかかる。
・不動産登記は義務ではない。
これ以外にも、理由はあると思います。ただ、不動産登記は、知識のない人が自ら簡単に行うことはできず、費用が掛かる上、登記は義務ではないということです。
そのため、放置され、数十年経つと、その不動産の名義書換を行おうとしても、相続人が増えてしまい、親戚といえども、全く面識のない人に連絡を取って、手続きを進めるのは、より困難になってしまいます。
このままの状態を放置すれば、所有者不明の土地が広がるだけの懸念があるため、先月、法務大臣の諮問機関である法制審議会が、民法や不動産登記法の改正について答申を行ったという報道がありました。
改正の大枠は、次のような内容になるようです。
・取得を知ってから3年以内に登記 (違反すれば、10万円以内の過料)
・10年間放置が続けば、法定割合で相続
・不動産所有者の住所・氏名変更も義務化
早ければ、2023年には施行されるようですので、相続手続きで放置することなく、早めに対処した方が良さそうです。
また、相続人がいない場合、亡くなった方の財産は、最終的には国庫に帰属します。2017年度には、その金額は500億円を超えています。
このような事態を避けるためにも、遺言書の作成などを検討してみては、どうでしょうか?
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